北原帽子の似たものどうし

昨日書いた文章、今日の目で読み返す。にがい発見を明日の糧に。

似たものどうし

【耳触り/耳障り】編集の現場から

●基本的な意味耳触り:聞いた感じ、印象耳障り:聞いて不快に思うようす ・現状このふたつ、「耳触りのよい音楽」「耳障りな音」のように使い分ける著者が増えている印象があります。 ・理由昭和の書きものでは、この使い分けの事例はあまり見かけたことがな…

【叶う/適う】編集の現場から

●基本的な意味叶う:望んだことが実現する適う:あてはまる ・現状「適う」とすべきところ、「叶う」がつかわれていることがよくある。 ・理由つかわれる機会は多いのに、「適う」の存在感がうすい。字画が少ない「叶う」にひっぱられてしまうのかもしれない…

【撥ね返す/跳ね返る】編集の現場から

●基本的な意味跳ね返る:反動で、元のところにもどってくる撥ね返す:押しもどす。つきかえす ・現状「〜を跳ね返す」という使い方を普通に見かける。微妙なケースもあり、うまく使い分けている人が少ない印象。 ・理由PCで「はねかえす」と入力して、「撥ね…

【望む/臨む】編集の現場から

・現状これから起こる、これから始まるというイメージでこの2つは共通するところがある。世間的に「臨む」の存在感がうすい印象がある。編集の現場では、「望む」を「臨む」に直す場面が多い。 ・理由「望む」の意味に意志がふくまれているからか、「臨む」…

【恐れ/虞】編集の現場から

●基本的な意味恐れ:こわいと感じること虞:良くないことがおきる可能性。心配 ・現状「オソレ」を可能性の意味で漢字をつかうときは、正確には「虞」とするべきである。しかし昨今あまり見かけない。「虞」の意味で、「恐れ」と書くことが常態化している。…

【捕まえる/掴まえる】編集の現場から

●基本的な意味捕まえる:手で押さえ、逃げないようにする掴まえる:手でしっかりと持つ ・現状「掴む」のときではなく、「掴まえる」のときに混同するのがポイント。「掴まえる」と書くべきところで「捕まえる」になっていることが多い。 ▼例文掴まえる:相…

【別れる/分かれる】編集の現場から

●基本的な意味別れる:一緒にいた人がはなれる、会わなくなる分かれる:一つだったものが別々になる ・現状「別れる/分かれる」での間違いの見過ごしは、実際は「別れた/分かれた」「別れて/分かれて」のかたちで発生しやすい。その中でもよくあるのは、…

【関わらず/拘らず】編集の現場から

●基本的な意味関わらず:関係なしに拘らず:悪い条件やあらかじめの行為があるのに反して(〜なのにそれでも) ・現状拘らずの意味で、「〜にも関わらず」「〜に関わらず」という表現を、さまざまなメディアでよく目にする。わたしのなかで、本来は正しくな…

【自任/自認】編集の現場から

●基本的な意味自任:自分にはそれがふさわしいと思うこと自認:自分がした行為を、自分自身で認めること ・現状「自任している」(自任=自分がふさわしいと思う、自負している)と書くところを、「自認している」としているケースがとても多い。自認は、事…

【弥が上にも/否が応でも】編集の現場から

●基本的な意味弥が上にも:(前からあるものに)加えて、さらにその上に否が応でも:自分の意思とは関係なく ・現状なんとなく語感が似ているというだけのこのふたつ。しかし「弥が上にも」=(さらに、ますます)の意味でつかうときに、「否が応でも」と書…