北原帽子の似たものどうし

昨日書いた文章、今日の目で読み返す。にがい発見を明日の糧に。

【必須/必至】編集の現場から

基本的な意味
必須:なくてはならないこと
必至:必ずそうなること、避けられそうにないこと
 
現状
必至の意味がふさわしい文脈なのに、必須にする人が少なくない。ベテランの著者はあまり間違わない印象がある。
 
理由
わたしたちが、なぜ必至をつかうべきときにつかえないのかというと、日常のシーンでなじみ薄だからというのがまずあります。そしてもうひとつは、必死という語の存在です。ややこしい説明になりますが、ミスをさそう理由に次のようなプロセスを想像します。必死をつかう場面ではないので必至でもないと思い込み(ヒッシという音が同じなのでおそらく無自覚に)、必至がふさわしいときでも、なじみのある必須にしてしまうのではないか、と。ここで面白いのは、同音異義語である「必死」「必至」での混同ではなく、「必須」「必至」での混同になってあらわれるということでしょう。
 
もう少し踏み込んで見ていきます。下記の例文のように、同じ文章で必須でも間違いではなさそうな(意味は通る)ケースがあります。しかし、どちらにするかで意味合いは変わってきます。
 
例文
必須:これはサポート必須(なこと:条件)だな。
必至:これはサポート必至(になりそう:予測)だな。
 
対処
次に挙げる例などを参考にして、文脈で最適なほうを選べるよう、ことばへのアンテナの感度を一段階上げていきましょう。
 
・必須の場合
必須アイテム
必須条件
予約必須な店(予約しなければ入れない)
ノートパソコン利用には必須となる電源の確保
その事態に対応するには、さらに専門的な理解が必須です
 
・必至の場合
行列は必至
予約必至な状況の店(予約しないと入れなそう)
議論になるのは必至の状況
増税必至
生活への影響は必至
納期の遅れは必至
計画の見直しは必至