北原帽子の似たものどうし

昨日書いた文章、今日の目で読み返す。にがい発見を明日の糧に。

【進入/侵入】編集の現場から

基本的な意味
進入:(単に)ある領域に入る
侵入:(無理に)ある領域に踏み込む

現状
文章を読んでいて、本来「進入」のほうがふさわしいのに「侵入」が使われているのを見かけるときがあります。【進入/侵入】は現れる頻度はそう多くない同音異義語ですが、「進入」をうまく使えている人が少ない印象です。
 
理由
「侵入」という表現には「進入」の意味を含むときがあったり、「侵入」というそれ自体がもつ強めの意味に引っ張られたり、推測変換時の勢いだったりして、ミスは起こりやすい。うっかり間違うというより、「侵入」の使用機会がじわじわ増えて、許容範囲を越えてまかり通っているかんじ。
 
対処
ポイントは、まずことばの結びつきを知ること。たとえば、侵入禁止や不法進入はNG。進入禁止、不法侵入が自然だからです。
 
侵入禁止(×)→進入禁止
不法進入(×)→不法侵入
 
それでは後ろに「経路」がつくときはどうか。固定された結びつきで考えると、うまくいかないことがあるかもしれません。文脈によって、「進入経路」がふさわしいとき、「侵入経路」がふさわしいとき、どちらもあるからです。
 
・進入経路がふさわしいとき
(火元がある)駅構内への進入経路を模索していた
・侵入経路がふさわしいとき
(犯人グループは)駅構内への侵入経路を模索していた
 
 
 
 

 

気づけなかった同音異義語: Kanji and Typos