北原帽子の似たものどうし

昨日書いた文章、今日の目で読み返す。にがい発見を明日の糧に。

コラム

「喩える」にも光をあてて…という話

世間に「例える」という表記が普通に使われるようになった経緯を少しさぐってみる。 というのも書籍の編集実務という仕事柄、「たとえる」という語の表記はずっと気にしてきた。何度ゲラに指摘してきたことだろう。普通の暮らしのなかでは「例える」が通常運…

アウトロダクション 〜推敲の終えどきをさぐる〜

イントロダクション、そして4回に分けて考えてきた推敲の終えどきに関する分類を振り返ります。 進捗について iPhoneのデフォルトアプリ「テキストエディット」に、新規で「推敲の終えどきをさぐる」と入力したと思う。昨年の11月のことだ。ある話題に対…

完成なのか終了なのか 〜推敲の終えどきをさぐる〜

それでは4つのケースのうちの4つめ、最後になります。文章についてプロセスが言えることがいくつかあります。 ケース4. 時間的な制約がある場合で、なおかつ文章を削れない 文章を削れないにも以下の二通りがあります。 ・削り終えて、もう削れないのか ・…

デッドライン 〜推敲の終えどきをさぐる〜

それでは、4つのケースのうちの3つめです。文章についてプロセスが言えることは、いくつかあります。 ケース3. 時間的な制約がある場合で、文章を削れる もの作りにおいては完成させることが大切です。修正しやすいデジタル環境にくらべてアナログ環境では…

操作のゆくえ 〜推敲の終えどきをさぐる〜

それでは、4つのケースのうちのふたつめです。プロセスがおしえてくれることが少なからずあります。 ケース2. 時間的な制約がない場合で、文章を削れる どのようなふるまいに自覚的になるとよいのか? 執筆後半の手直し途中、デジタル環境でおこなう操作が…

削れない理由 〜推敲の終えどきをさぐる〜

それでは、4つのケースのうちのひとつめから見ていきます。プロセスがおしえてくれることが少なからずあります。 ケース1. 時間的な制約がない場合で、文章を削れない 削れないにも二通りあります。削り終えてもう削るところがないのか、寝かせが足りなくて…

推敲の終えどきをさぐる(イントロダクション)

観るともなしに映画『イコライザー』を観ていたら、困難と向き合う友人をデンゼル・ワシントンが励ますシーンで「完璧より前進(progress.not perfection.)」というフレーズがでてきました。 今回はこの「完璧より前進」が意味するものを考えてみました。ま…

時間をずらしながら書き上げる方法

自分に最後まで文章を書いてもらうのは容易ではありません。だけど、書き上げるプロセスの工夫で書き上がるかもしれない。たとえば一度に書けなくてもいいし、それがダメなことではないと思わせてくれる方法があってもいいでしょう。今回はそんな時間をずら…

下書きと清書 読書感想文の書き方(その2)

前回、生徒にとってもう少し書きやすい読書感想文の方法はないだろうか、という課題の提示で終わりました。今回、その先をつづけようと思います。 どのようなスタンスで取り組んだらいいのか? 漠然とだけど書きやすい方法を想像してみる。わたしが先生で自…

下書きと清書 読書感想文の書き方(その1)

何年か前に「文章と教育」という記事を書いた。この延長で読書感想文の書き方というものに関心が向いていた。今回はその書き方(今回最後のほうでは「書き上げ方」「やり方」という言い方になりました)のはなしを中心に、自分のなかでわき起こった考えの行…

5年たって考えていること

最寄り駅までの15分ほどの歩きで考えることがわたしをつくる。先月から会社は在宅勤務の日が増えて、通勤は朝の当たり前ではなくなっているけど、歩くことが大切なのは変わらない。手段ではなく目的のときもあるし、手段と目的を兼ねるときもある。自分に…

こうして誤記はひとつだけ残る(2)

前回から引き続き、編集プロセスからみた誤記が残るしくみをさぐります。 例えば、繁盛する飲食店の店員になった自分を想像してみます。営業時間の終わり間際にお客の入店を断るときがあるかもしれない、来てくれたひとに申し訳ないけど。再校の段階というの…

こうして誤記はひとつだけ残る(1)

2、3年前になりますが、ある著名な作家が下記のようなことをつぶやいていました。 私の本、誤字がいつもひとつだけ残るのはどうしてなんだろうか… 編集実務という仕事柄、思い当たることもあり、このつぶやきはわたしの頭の片隅に残った。なぜいつもひとつ…

だれが自分の文章を読むのか?

顔つきというものは変えられないが、身だしなみは整えられる。 たとえば、家をでる前の身じたくから人に会うまでの時間をすこし思いかえしてみる。会った人に、襟の折れやボタンのかけ忘れ、チャックの閉め忘れなどを指摘されたことがあっただろうかと。最近…

文章と教育

小中高と作文の授業を受けたことがあっただろうか。思い出せる限り、ない。たしかに感想文を書く機会はあった。多くあった。名著や課題の本などを読み、書く内容は自由だったと思う。だけど小学生のころといえば、なにか「よいこと」を書かなければならない…

推敲の前に、なにをするのが効果的なのか?

わたしたちは、常に現在の自分が過去の自分を上書きして暮らしています。それは無意識におこなわれていて、おそらく今の自分を肯定していく土台になっている。「頭を冷やしてよく考えなさい」といわれることを繰り返しながら、人は成長するものなんだろう。 …

文章を書いているとき、人はどんな心理にとらわれやすいのか?

まとまった文章を一本仕上げるのは、誰だっていつだって至難の業。いざ書き出してみると、わたしたちの頭はマルチタスク状態になるからです。発想、表現、構成、品質など、やることは考え出したらキリがない。書きあぐねるときもあるでしょう。わたしもいち…

書いた文章を読み返すと、どんなことが起こるのか?

仕事柄、日々著者の推敲の過程を目の当たりにしていると、気づかされることがたくさんある。今回は、文章をつくるときは「できるだけ早めに取りかかろうよ」ということについて話してみたい。 時間がかかること、時間をかけること まとまった文章が出来上が…

「詫び訂」のあるサイトはなぜ信用できるのか?

あなたはネットでサイトの善し悪しをはかるとき、なにを拠りどころにしていますか。私はサイトの信用性をみるとき、「詫び訂」があるかどうかを判断のひとつにおいています。これからその理由を説明していこうと思います。 〇「詫び訂」とはなにか? まず「…

私たちが文章にしていくこと 第三便

北原帽子です。 三回に分けて、「私たちが文章にしていくこと」と題して、手直しについてのコラムを書いています。 各回の内容は、以下のようなものです。 第一便 「行為」読み 第二便 「状態」読み 第三便 デジタル環境(今回はこちら) 今回は、第三便。デ…

私たちが文章にしていくこと 第二便

北原帽子です。 前回から三回に分けて、「私たちが文章にしていくこと」と題して、手直しについてのコラムを書いています。 各回の内容は、以下のようなものです。 第一便 「行為」読み 第二便 「状態」読み(今回はこちら) 第三便 デジタル環境 今回は、文…

私たちが文章にしていくこと 第一便

北原帽子です。 わたしは発売をひかえた新刊本のゲラと日々向き合っています。おもに文章の品質を高める作業をしています。書かれたものは、大人へと成長する過程でどのような変化をしていくのか。そのプロセス自体がもつ価値を伝えていけたらと思っています…