●基本的な意味
関わらず:関係なしに
拘らず:悪い条件やあらかじめの行為があるのに反して(〜なのにそれでも)
・現状
拘らずの意味で、「〜にも関わらず」「〜に関わらず」という表現を、さまざまなメディアでよく目にする。わたしのなかで、本来は正しくないのに世間的にこれでよいと思われていることば、第一位。いつか当たり前のようにつかわれている気さえする安定感です。
・理由
ふだん耳にすることばは、書きことばになると簡単なものに置き換わりやすい。PCでの変換結果で、上記のような表現を良しとしている影響も多分にあるように思う。
▼例文
関わらず:他人といっさい関わらず暮らすことなどできない
拘らず:機械であるのにも拘らず、それは意志をもつ人間のようなふるまいを見せた
・対処
それではどうすべきか。ひとつに、「〜にもかかわらず」「〜にかかわらず」とひらがなにするやり方がある。漢字にするのなら、「拘らず」となる(送りがなにも注意)。PCやモバイルフォンで「かかわらず」と打つと、変換候補で最初に「関わらず」と出ないようにしてほしいものです。それだけで世の中から間違いがひとつ減るわけですからね。
ひらがなに直す
〜にも関わらず→〜にもかかわらず
〜に関わらず→〜にかかわらず
これは余談ですが、わたしにとってはカカワラズの表記方法はとても意識するところです。文章品質の面で、どんな媒体であっても編集過程で校正の目が通っているかどうかのバロメーターのひとつになっているからです。
*2019年1月17日、加筆修正しました