基本的な意味
効く:効果がある
利く:機能する(work)、できる
現状
このふたつは、意味だけみると理解しやすい似たものどうしだと思います。ただ、実際の使われ方は「効く」にバイアスがかかり、「利く」のほうがあまり認知されていない印象。本の編集の現場でも「効く」を「利く」に指摘する場面が多い。
理由と対処
なぜ、みんな「効く」にしてしまいやすいのか。これはまず「効く」のほうがふだん目にする機会が圧倒的に多いからだろう(「利く」はひらがなで書かれるケースが多いからというのもあるかも)。そのため、「キク」は「効く」でよいと無意識に思うのかもしれない。また、「利く」よりも「効く」のほうがことばとして強い、というのもあるような気がする。対処の結論としては、効果という意味をもたせたい場合以外は、ほとんどが「利く」になるということです。
例えば、
・スパイスのきいたカレーを食べた
・クーラーがきいた部屋に入る
は「効いた」だが、
・気がきく
・つぶしがきく
・保存がきく
・ごまかしがきかない
・無理がきかない
などは、「利く」「利かない」になる。
それでは、さきほどの例文と似ているようだが
・スパイスをきかせたカレーをつくる
の場合はどうだろう。
これは「利かせた」がよいのではないか。つまり他動詞としての使い方だ。
最後に、
・空調がきいた部屋に入る
はどうだろうか。これは「利いた」でもよいのではないかと思う。なぜなら、クーラーは効く(効果がある)だが、空調は利く(はたらくという意味)でもよいからだ。
このように今回の【効く/利く】は使い分けが悩ましいケースもありますが、使う人の意図で臨機応変に対処してよいかと思います。