英単語で説明すると使い分けがわかりやすいので、以下に示します。辞書で確認すると、「聞く」の使い方は思ったより多くありますが、ここでは割愛します。
基本的な使い分け
聞く:hear(askを含む)
聴く:listen
訊く:ask
現状
「聴く」や「訊く」のほうがふさわしい場合でも、「聞く」が優先されがちです。編集の現場でゲラを読んでいると、「訊く」がうまく使えていないケースが少なくありません。もちろん「訊く」の意味で常に「聞く」を使ってかまわないのですが、そもそも尋ねるという意味の「訊く」ということばの使い方を知らない人もいるようです。とくに若い人ほど「訊く」の認知度は低い印象です。
理由
「聞く」が優先されてしまう最大の理由は、【訊く/訊ねる】の「訊」は常用漢字ではないからです。同音異義語は親しみやすさで判断してしまう傾向があります。また、「聞く」には「訊く」の意味も含まれているために、「訊く」を使いたいときに間違って「聞く」にしても通じてしまう、ということがあるかもしれません。
対処
区別するためには他の語があるのを知っていることが前提となります。「聴く」を選べないのは、うっかりミスな場合が多いかもしれませんが、「訊く」はどうでしょうか。考えてみると不思議なものです。意味的にベクトルが逆な二つのことば「(相手から)聞く」と「(相手に)訊く」が、同音なのですからね。使い分けたいときには、以下を参考にしてください。
・聞くと聴く
聞く:食事をしていると、(意識せずとも)音楽が聞こえてきた
聴く:(意識して、主体的に)音楽を聴きながら食事を楽しんだ
・聞くと訊く
聞く:人(から/に)話を聞く、~について聞く、~を聞く
訊く:人に訊く、~について訊く、~を訊く
*2020年3月15日、加筆修正しました