北原帽子の似たものどうし

昨日書いた文章、今日の目で読み返す。にがい発見を明日の糧に。

2017-01-01から1年間の記事一覧

【効く/利く】編集の現場から

基本的な意味 効く:効果がある 利く:機能する(work)、できる 現状 このふたつは、意味だけみると理解しやすい似たものどうしだと思います。ただ、実際の使われ方は「効く」にバイアスがかかり、「利く」のほうがあまり認知されていない印象。本の編集の…

【以前/依然】編集の現場から

基本的な意味 以前:ある時点より前(時間) 依然:前と変わらない様(状態) ・現状 仕事でゲラを読んでいて、数年前までは「以前として」という書きミスを見かけることがあった(最近はあまり見ない)。そして私はそれをちょくちょく見落としてきた。年に…

【必須/必至】編集の現場から

基本的な意味 必須:なくてはならないこと 必至:必ずそうなること、避けられそうにないこと 現状 必至の意味がふさわしい文脈なのに、必須にする人が少なくない。ベテランの著者はあまり間違わない印象がある。 理由 わたしたちが、なぜ必至をつかうべきと…

【決済/決裁】編集の現場から

基本的な意味 決済:お金を支払う 決裁:下の者が出した案の可否を上の者が決める ・現状と理由 同音異義語による変換ミスの典型ペアです。編集の現場感覚では、「決裁」をつかう場面で「決済」にひっぱられるものが多い印象です。「決裁」のほうが世間的に…

だれが自分の文章を読むのか?

顔つきというものは変えられないが、身だしなみは整えられる。 たとえば、家をでる前の身じたくから人に会うまでの時間をすこし思いかえしてみる。会った人に、襟の折れやボタンのかけ忘れ、チャックの閉め忘れなどを指摘されたことがあっただろうかと。最近…

【押さえる/抑える】編集の現場から

基本的な意味 押さえる:動かないようにする 抑える:くいとめる ・現状と理由 この異字同訓は意味の重なる範囲が広いため、使い分けがむずかしい。ゲラでは「押さえる」にすべきところが「抑える」になっているケースが目立つ。また、反対の意味になる場合…

文章と教育

小中高と作文の授業を受けたことがあっただろうか。思い出せる限り、ない。たしかに感想文を書く機会はあった。多くあった。名著や課題の本などを読み、書く内容は自由だったと思う。だけど小学生のころといえば、なにか「よいこと」を書かなければならない…

【対価/代価】編集の現場から

このふたつは同音異義語ではありません。 代価(だいか)と対価(たいか)。 「代価」の意味で、「対価」を使っているひとが多い印象がある。 たとえば「だれがその対価を払うのか」は、「だれがその代価を払うのか」である場合が多い。 ・だれがその代価(…