北原帽子の似たものどうし

昨日書いた文章、今日の目で読み返す。にがい発見を明日の糧に。

2016-01-01から1年間の記事一覧

推敲の前に、なにをするのが効果的なのか?

わたしたちは、常に現在の自分が過去の自分を上書きして暮らしています。それは無意識におこなわれていて、おそらく今の自分を肯定していく土台になっている。「頭を冷やしてよく考えなさい」といわれることを繰り返しながら、人は成長するものなんだろう。 …

文章を書いているとき、人はどんな心理にとらわれやすいのか?

まとまった文章を一本仕上げるのは、誰だっていつだって至難の業。いざ書き出してみると、わたしたちの頭はマルチタスク状態になるからです。発想、表現、構成、品質など、やることは考え出したらキリがない。書きあぐねるときもあるでしょう。わたしもいち…

書いた文章を読み返すと、どんなことが起こるのか?

仕事柄、日々著者の推敲の過程を目の当たりにしていると、気づかされることがたくさんある。今回は、文章をつくるときは「できるだけ早めに取りかかろうよ」ということについて話してみたい。 時間がかかること、時間をかけること まとまった文章が出来上が…

【解答/回答】編集の現場から

前回の使い分け【答える/応える/堪える】で「答える」にふれたので、あわせて考えてみたいのが【解答/回答】の使い分けです。 ・テスト用紙の「かいとう」欄がせまい理由 ・一発「かいとう」 ・アンケート用紙の「かいとう」欄が広すぎる 解答/回答 この…

【答える/応える/堪える】編集の現場から

あなたは「こたえる」という音を聞いたとき、どんな漢字を思い浮かべますか。 答える 応える 堪える さらっと三つともでてくる人は少ないんじゃないかと思います。きちんと使い分けている著者の方も少ない印象があります。それは、どれを使っても間違いでは…

【づく/ずく】編集の現場から

ゲラを読んでいると、前回の【づくし/ずくめ】と同様に【づく/ずく】でも「づ」と「ず」で表記が混乱しているのを見かける。漢字で「付く」なら「づく」、「尽く」なら「ずく」になる。なかでも「入院している人を力づける」のように励ますという意味の「…

【づくし/ずくめ】編集の現場から

【づくし/ずくめ】の使い分けのまえに、「ずくし」「づくめ」という書き方はないことを、まず知っておくこと。「づくし」「ずくめ」が正しく、辞書ではこの表記で載っている。 それでは本題の使い分け。わたしは今でも迷うときがある。うろ覚えでやると間違…

【薦める/勧める】編集の現場から

「すすめる」は、「薦める」と「勧める」で迷うときがある。「薦める」のほうがなじみがあるかもしれない。オススメ商品の意味で、よく見かける。もう一方の「勧める」はどうだろう。ときどき見かけるかんじかな。普段から「勧める」を使えるひとは言葉に意…

【悲壮/悲愴】編集の現場から

「ひそう」は、つながる言葉が例えば「あふれる」のか「ただよう」のかで、あてる漢字が変わってくる。あふれるなら「悲壮」、ただようだと「悲愴」になる。 悲壮感あふれる表情(勇ましいの意味) 悲愴感ただよう表情(痛ましいの意味) のようになる。ゲラ…

【渡る/亘る】編集の現場から

〜は長期に渡る 〜は広範囲に渡る 〜は多岐に渡る 公私に渡り〜 細部に渡り〜 上のような使い方は、テレビの画面などではよく見かける。しかし使い分けるのなら、これらはすべて正確には「亘る」のほう。「亘る」をつかうところで「渡る」になっているのが常…

【伺う/窺う】編集の現場から

・伺う 聞く、尋ねる、訪ねるの謙譲語 ・窺う 様子をみたり、機会をねらったりすること ゲラでの指摘では「伺う」を「窺う」に直すときが多い印象。たとえば「顔色を伺う」としているのをよく見かける。おそらく一般的に「窺う」の存在感がうすいんだろう。…

【半面/反面】編集の現場から

よくあるのが、「半面」をつかったほうがよいところで「反面」にしている例。とくに接続詞的につかう場面では気を配りたい。著者の方でも、きちんと使い分けているときが少ない印象がある。そんな似たものどうし。 ・「片方で」「一方で」の意味でつかう場合…